拭き漆工房うたせについて

 古来から漆は食器に多く使われてきました。特別な日の料理を入れる重箱から日常の食卓で使うお椀など日本の食文化には欠かせないものですが、その多くは赤色と黒色の塗り立て技法といわれるものによります。漆器の特徴である「ふっくら感」「しっとり感」「深み感」を余すところ無く表現できる代表的な技法です。

 

また、上塗りのとき炭や角粉を使い磨き上げる研ぎ出し技法があり、漆本来の艶が奥深くから輝き、その力強い光沢が見る人を魅了します。この技法は、蒔絵や螺鈿などの高度な技術を要する技法へ発展します。

 

 さて主題に関係する拭き漆技法は、木材がもっている素地のそもそもの美しさを引き出す日本古来からの素朴な技法です。木地に生漆を摺り込み拭き取ることを何回も繰り返して、色・艶など落ち着いた雰囲気を醸し出します。古民家ではよく見られる、柱・鴨居・廊下・階段などの漆塗りは大工さんが拭き漆で行ったものですし、高級な竹製の釣竿も拭き漆で塗ってあります。

拭き漆の良し悪しは素地で決まります。一般的には欅・栓・楡などがその材料の代表選手です。

 

 あるとき、タモ材のテーブルをじっくりと拭き漆で仕上げた絶品を発見してしまいました。同じような物が作れないものだろうか?とのチャレンジ精神が湧き上がり65歳の手習いで漆塗りの門戸をたたくことに・・・。
先生は文献とDVD、ジョイフル本田富里店において漆塗り教室を主宰する渡邊浩幸氏、それと精神的支えとして塗師・赤木明登氏とその著書「漆塗師物語」でした。
あえて過去形にしたのは、生意気にも自己流の塗り方による作品造りにそのベクトルが向いていることに気が付いたからです。

 

2010年5月、拭き漆工房「うたせ」開設。
「うたせ」は私が住む街、千葉市美浜区打瀬から頂戴しました。

その打瀬は、東京湾の遠浅の海で操業していた「うたせ船」に由来しています。

小野昭夫

工房日記
組み立て時計の針カバー

組み立て時計の針カバー

2026/02/01    前編で「最後の画像はお客様向けにオプションで考えているカバーの試作品です」と予備アナウンスをしましたが、なかなか寸法が合う既製品が無かったので100均でプラスティ [...]

軸心長さ微調整

軸心長さ微調整

2026/01/18    先に修理完成した我が家の時計の組み立てなんですが、新旧のムーブメントの秒針の駆動方法の違いから盤面から針の取り付け高さに差が出ています(新型の方が1.5mm背高の [...]

仕事始め(その2)

仕事始め(その2)

2026/01/11    昨年の暮れからの宿題がふたつありました。そのひとつが手作り時計の修理とお化粧直しです。昨年暮れに発注していたクオーツ・ムーブメントと針のセットが届いたのでお化粧直 [...]

2026年初仕事

2026年初仕事

2026/01/04    2026年の初仕事は昨年の宿題の一つ、大椀の修理とお化粧直しの下仕事です。内容はお椀の縁に麻布を張り付ける作業。ほとんど初めての作業です。昨年の暮れの麻布と和紙の [...]

>>すべての日記を見る